【不動産契約の印鑑は実印?認印?】福岡で創業100年超えの小金丸彫刻工業(株)に色々と聞いてみました。

こんにちは、URUFU(ウルフ)の前川です。(^_^)
前回取材させていただいた小金丸彫刻工業さんのおがげで、判子や印鑑について深く知ることができました。なかなか判子を作ってる工場を見せてもらう機会はないのでとても貴重な体験でした。

今回は不動産の契約で使う印鑑について、もう少しご説明したいと思います。



押印により重みのある書類に!

ペーパーレスの時代になり昔に比べて随分と会社の書類が減ったような気がしますが、それでも不動産業は旧態依然として紙が多いと感じます。契約書などお客様と取り交わす重要な書類が多いことも、その原因かも知れません。

コンサルティング会社にいたサラリーマン駆け出しの頃、時の社長に"書類を大切にしなさい。私たちは書類で生きているのだから"と教わりました。

書類の中のミスがないことはもちろん、お客様との書類だけでなく同僚の作成した資料の上にも物を置くことは許されませんでした。書類とは、そういう意味では全て重要なのですが、押印のある書類というのは特に重要な扱いとなります。

印鑑を押すことにより、意思を持って作成した又は意思を持って確認した、という法的にも責任が生じることになるためです。他の業界では、サインで済ませたり電子サインの形式も出てきましたが、印鑑を押すことで確認や承認が気軽なものではなく、より重みを持ったものになります。

日常的には名前や社名が彫られた円筒形のものを印鑑と呼びますが、正確にはあれそのものは判子です。判子によって押された印影のことを印鑑と呼ぶんだそうです。



日本で一番古く一番有名な判子は、博多湾に浮かぶ志賀島で見つかった金印でしょう。福岡市博物館に展示されています。見に行ったことないけど、教科書に載ってたものがせっかく身近にあるのだから、近々見に行ってみたいと思います。





判子の種類

・シャチハタ
インク浸透式のゴム印のことを一般的にシャチハタと呼びます。シヤチハタ株式会社が製造販売していて本当の商品名はXstamperと言います。確かにそう書いてある・・・!




朱肉が要らないので、玄関先に置いてあって宅配便が来たらペコッと押したら荷物を受け取れます。会社でもボールペンのお尻でペコッと押すだけ、一番使用頻度の多い判子でしょう。



簡単な確認の印(しるし)としては使えますが、少し形式ばった書面には使用できないことがほとんどです。夏休みに毎朝わざわざ早起きしていたのは、これが欲しいばっかりでしたね。


・認印


その名の通り、確認印のこと。上記シャチハタも認印の一種です。各種申込書類や契約書類でも、"認印で構いません、ただしシャチハタ以外で"なんて文言を言われます。

シャチハタで受け付けられない理由は、インクの性質上押印が薄くなることや、ゴム製のため劣化したり力加減で陰影が変わると言った信用性には薄いことが理由です。認印は、たいていの苗字の場合判子屋さんの店先に、あいうえお順で置いてあります。無駄にグルグル回して自分の苗字を探してみたり。

小金丸彫刻さんなら、珍しい苗字でも30分あれば制作してもらえます。小さいので失くしたり、じい様ばあ様が残していったりするので、家じゅうの認印を探すと、かなりあるのではないでしょうか。
高校の卒業式の時、卒業証書と一緒に記念品で黒水牛の印材を学校からもらったけど、どこへやら。


・実印


自分が住民票をおいている役所で"印鑑登録"という手続きをして、初めて実印の出来上がりです。ちなみに福岡市内在住なら各区役所で手続きできます。一度登録してしまえば、どの街の役所でも受け取ることができます。

実印の押印を必要とする書類提出の場合、印鑑証明書を添付することになります。印鑑証明書も、もちろん役所やそれに付随する機関、郵便局(限定あり)などで取得できます。印鑑登録していることが前提です。

登録することによって、確かに本人が署名・捺印した書類であることを第三者機関として役所が保証することで、当事者同士が安心して取引なり契約できるシステムです。
世界で一つだけの自分の判子です。一人に一つ限定です。認印とは別に、実印としてちょっといいやつを持っていたい一品です。できればケースもかっこいいやつを。かっこいいと言う理由だけじゃなく、防犯上、安全対策として実印は認印とは別に揃えておいた方がいいでしょう。

↓象牙の判子


実印の印材として象牙が一番良いと言われています。
確かに一生使い続けるものですので耐久性があることが重要です。版画の世界でも、初版に近い作品と終盤の作品で、原版の摩耗により印象が変わったり作品価格に違いが出たりします。実印は登録した印影と変わってしまうと利用できなくなります。材質の堅い象牙が耐久性が高く重宝される理由の一つです。

象牙は固くきめが細かいため、彫られた文字自体もきめ細かいものに仕上がります。芸術性から見ても、白くて美しく堂々としている印象があります。

象牙の中でも芯に近い方が良いらしいです。タケノコも芯の部分美味しいですね。朱肉との相性も良いため使う程に味わい深くなるという、使う個人が作り上げていく人生の分身みたいなものとも言えます。

因みに、印鑑の供養というものもあります。




・銀行印
今度は役所じゃなくて、各銀行に届け出・登録することで、その銀行との手続きや取引をするための判子です。
銀行毎に登録印を変えても構いません。昔は通帳の1ページ目に分かりやすく貼ってあったんですが、最近は防犯上それはなくなりましたね。



判子の種類や呼び方は、他にも色々ありますが、一般的にはこの3種類(4つ)あれば事足ります。逆に言うとこの3つは社会人として最低限必要でしょう。法人(会社)の場合も、実印・角印(法人の認印)・銀行印の3つを設立前に用意します。


・落款印


主に書画などの作品に付けるサインです。気持ちを入れて書きました、作りましたっていう印(しるし)です。
私は陶芸をやっている時期は、落款印を一つ持っていました。自分の作った作品の後ろに押印します。紙じゃなくて土なので少し立体的になります。

あんまり好きじゃない作品には印を押しませんでした。小金丸さんによると、陶芸用なら印を深めに彫れる印材が良いとのアドバイスです。芸術作品に合わせて印材や文字を選ぶのも乙なものです。


・拇印
右手親指の腹に朱肉を付けて押すやつです。本来は、本人しか押すことができず偽造ができない唯一のサインなのですが、登録されていないので照合に時間がかかります。あまり効率的じゃないので、現実の商取引では使われることは稀です。Vシネマとか任侠物では時々見るような・・・笑

警察のお世話になる時には使いますね。前科者に限り、警察では指紋をデータ化しています。右親指だけじゃなく全部の指をグルっと専用機器でスキャンします。



不動産取引で使う判子

はっきり言って、純粋な不動産取引の書類として、私たち不動産業者として必要な書類には全て認印(シャチハタは除く)だけで大丈夫なのですが、お客様同士の大切な契約ですので当社としては、実印での押印を推奨しております。
先ほどの純粋な不動産取引の書類とは、賃貸借契約書や売買契約書のことです。土地や建物の売買契約書は大きな金額にもなるので、気持ち的に実印が必要な気がしますが、法的な取り決めはありません。ただし、契約後の付随的な箇所で実印が必ず必要になるケースがあります。それゆえ、契約書も実印を押しておいた方が整合性が取れて手続きがスムーズに進められます。


・賃貸の場合
賃貸借契約を結ぶ際、本人は認印で大丈夫です。もちろん実印の方が信頼性が上がります。
ただし、この契約の際同時に今後の家賃送金方法として銀行の自動引落を求められますので、銀行への申込書類として銀行印も必要になります。
また、物件を借りる方の保証人を求められる場合、保証人の実印の押印と印鑑証明書の添付が必要になります。最近は保証会社をつけることで保証人を求めるケースは少なくなりましたが、 大家さんや不動産会社によってはまだこのようなケースは残っています。

【本人】
 認印(又は実印) + 銀行印

【保証人が必要な場合】
 保証人の実印



・売買の場合
媒介契約書や売買契約書を結ぶ際、本人は認印で結構です。<ただし、売買契約締結後すぐに所有権の移転登記を行うので、実印と印鑑証明書が必要になります。買主側は、住宅ローンの本審査にも実印と印鑑証明書が必要になります。

法務局や銀行側の担当者が、それぞれの手続きを進める際に売買契約書の写しを確認しますので、実印を押印しておいた方が整合性を持たせられスムーズな手続きができるというメリットがあります。

また、不動産売買は売主様・買主様双方にとって大切な取引です。法的な取り決めは無いのですが、売買契約書には実印を使用することでお互いにとって安心できる取引となります。信頼性からも手続き上も、やはり実印をお勧めしております。



まとめ

判子を介して小金丸彫刻工業の方々と色々お話させて頂きました。印鑑の話、戦争の話、福岡の発展の話・・・

その中で印象に残ったのは、時代の移り変わりの速さについての話です。よくも悪くも、現代の流れは速いです。判子職人の中島さんも"いやー最近の流れについていくのは大変です"と。
店舗の方では、天神ビッグバンに伴う水鏡天満宮の話も出ました。

"福岡城の鬼門にあたる現在の地にある天神様は、福岡の発展を見守ってきてくれました。皮肉なことに、その発展に伴い水鏡天満宮移設の案が出ており懸念しています"(社員さん談)

時代や流行は移り変わっても、優れた伝統や優れた文化など次の時代に残していきたいものです。日本には、それら素晴らしいものがたくさんありますが、中にいると見過ごしてしまいます。判子についても、外国人の方々からの興味があってお土産にも一定の人気があるそうです。

小金丸彫刻工業の皆さま、色々なお話を利かせて頂き本当にありがとうございました。



前川和俊

不動産売買デベロップメント(株)一社員 開業支援のコンサルティング会社を経て、個々の独立開業のお手伝いをしてきました。 不動産との係わることはこれまでにもありましたが、本業として不動産業に携わるのは初ですので、 業界の疑問点や改善すべき慣習にピュアに取り組んでいます。 福岡を主に九州他県や地方からの情報発信を行ってまいります。